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研究委員会

都市交通研究所では研究委員会を設置しています。


都市鉄道の利用動向と需要分析委員会


主査:松澤俊雄(大阪市立大学名誉教授)
副主査:水谷淳(神戸大学准教授)

公共交通機関への需要分析は運輸事業者にとっては最重要課題の一つであり、都市交通研究所でも何度か研究対象として取り上げられた。2001年7月から2004年2月にかけても「都市鉄道需要構造委員会」(山田主査、松澤副査)が設置され研究会を重ねてきた。学校側と事業者側の両者から、人口動態や通勤(通学)流動、高齢化・少子化、景気動向、運賃水準、情報化、業務慣行などが都市鉄道需要に与える影響についての分析や事業者の需要喚起策についての報告も行われた。1990年代半ばのバブル経済の崩壊を機にわが国(特に関西)の経済状況は低迷し、80年代後半から若干上向いていた関西圏の鉄道利用者数も90年代半ばからは低落傾向を見せてきた。
それまでの分析結果は毎年の時系列データにおいても、5年・10年毎に行われる公のセンサス調査結果においてもバブル崩壊という転換点を反映しており、報告書に分析結果の理解や将来の都市鉄道需要への示唆を示すには躊躇が生じ、本研究は一定の帰結を得ないまま、中断した状態となっている。
この研究プロジェクトは、一つには、上記「都市鉄道需要構造委員会」で企てられ、これまでに得られた研究成果をベースにしつつ、使用データの追加ならびに更新を行うことで、マクロ的な研究をより進めることである。
またもう一つの狙いは、人々の移動(トリップ)を軸に都市鉄道の需要促進に通ずるような新たな視点からの分析[ex.(通勤・通学以外の)昼間時交通需要分析]をすすめることである。昼間時の業務・私的トリップは、通勤・通学トリップの需要弾力性が低いのに対し、鉄道利用環境上の変化に対する需要の弾力性は高く、その利用促進は鉄道事業者の収入増加の可能性に通じるとともに、公共交通による都市への来訪者の増加は「都市の活性化」により大きな効果をもたらすという意味で、社会全体の利益にも通じると考えられる。



 
都市鉄道ネットワークのあり方委員会


主査:秋山孝正(関西大学教授)

これまで都市構造と都市交通の関係を中心に「都市のコンパクト化と交通」委員会で検討を行ってきた(報告書完了)。これに対して、近年では京阪神の都市鉄道においては、新駅の開設、新規路線の開通、ターミナルにおける大規模開発などによって、都市交通環境に変化が生じている。これらは、特定区間の局所的な開発ではあるが、これら「点」と「線」に加え、「網」としての都市鉄道ネットワークの相互作用から、鉄道サービスの向上をもたらし、都市内の旅客流動に影響を与える。このようなことから、本研究委員会では「都市鉄道ネットワーク」の構成の変化と都市交通需要の関係を検討する。少子高齢・人口減少社会の進展により、都市鉄道需要の減少が顕著であり、また生活様式の変化が都市交通パターンにも変化を与える。さらに都市の形態も政策の推進とともにコンパクト化に向かう可能性が少なくない。このような、都市交通をめぐる環境変化を踏まえて、都市鉄道ネットワークの構成と有用性を検討することを目的とし、「都市のコンパクト化と交通」委員会の応用的・発展的研究を行う委員会としての性格を有している。



都市鉄道事業における運賃規制及び運賃設定のあり方委員会


主査:水谷文俊(神戸大学教授)
副主査:正司健一(神戸大学教授)

鉄道事業においては、1996年に上限価格規制への移行、ヤードスティック規制方式の導入など一連の鉄道運賃規制の改革が行われて以来、2000年の需給調整規制の撤廃や退出規制の軽減化を除いて、それ以外の大きな変革は行われていない。一方、鉄道運賃に関しても、1995年の運賃改定以降は、1997年と2014年の消費税率の変更に伴う改定以外は、特に大きな改訂はなされていない。しかし、鉄道事業を取巻く外部環境は大きく変化してきている。例えば、需要面においては、首都圏以外では、需要の減少傾向が顕著になってきている。更に高齢化対策としてエレベーター設置に代表される投資費用の増加等、経営を圧迫するような要因が増えている。実際、事業者側からも現行のヤードスティック規制方式の設定が、古いデータを基に設定されていることや、ダイヤ削減や不採算路線廃止等の負のインセンティブが働くような状況を生じさせている等、多くの問題点が指摘されている。こうした状況を勘案すると、現行の運賃設定方式や規制方式を再検討し、新たな運賃規制及び運賃設定のあり方を検討する時期に来ていると考える。本委員会は、こうした問題意識のもと、「都市交通事業における運賃設定のあり方」委員会(2009~2012年)の発展版として、@既存の規制方式(総括原価方式、上限価格規制、ヤードスティック規制方式)の再評価、A新たなデータを基にしたヤードスティック規制方式の設定、B新たな価格規制手法(例えば、プライスキャップ規制の導入の可能性)の検討、C魅力ある都市交通運賃の提案、D乗り継ぎ運賃制度の検討、などを研究課題として取り上げ、今後の運賃のあり方を検討するものである。



 
都市交通事業と沿線コミュニティ委員会


主査:宇都宮浄人(関西大学)
副主査:橋愛典(近畿大学)

関西圏の交通事業者は、沿線人口の減少、高齢化といった中、右肩上がりの利用者増が望めない状況にある。しかしながら、今後、成熟した豊かな地域社会を築くためには、単に大量輸送手段として交通サービスを提供するだけではなく、沿線コミュニティの諸課題に即したサービスを提供することが求められる。また、そうした量より質を重視することで、交通事業者、利用者、地域社会全体にとって「三方よし」の関係を築くことができる。
そこで、本委員会では、交通事業者と沿線コミュニティの関係を多角的、かつ定量的に検討することで、新たな交通事業者の役割を見出すことを狙いとする。具体的には、従来からの不動産や商業といった関連事業のほか、高齢者や女性の社会参加、子育て、空き家の活用など、さまざまな沿線コミュニティの課題に対し、どのように鉄道事業者が貢献できるのかなど、幅広い視野に立って論点を整理することが一つの目標である。また、新たな試みとして、沿線地域が求めている交通事業者のサービスの「質」を定量化すべく、各事業者のこれまでの取り組みを整理したうえで、委員会として顧客満足度調査等の新たな統一的なアンケートを企画・実施し、結果の分析を行う。



逆都市化と公共交通の維持運営委員会


主査:兒山真也(兵庫県立大学大学教授)

逆都市化は「都市の発展段階論」で用いられてきた用語であり、都市の発展と衰退の循環モデルにおける、都市圏全体の人口減少期を意味する。逆都市化により都市圏全体で鉄道需要が減少するおそれがあるが、とりわけ郊外部において鉄道需要減少が深刻化しているのが現状ある。関西圏では一部の鉄道路線で大幅な需要減少がすでに顕在化している。国土交通省が定義する地域鉄道のみならず、都市鉄道の範疇であってもこうした現象と無縁ではない。需要減少の速度も重要であり、それが対応をいっそう難しくするケースが今後増えることが予想される。
逆都市化への都市交通の対応について「適応策」と「緩和策」の観点から論じた大西(2015)をやや拡張すると、適応策とは、逆都市化(低密度化、高齢化、人口減少)を前提とした、主に供給面の効率化を意味する。運行や管理の合理化、経営形態の見直し、ネットワークの見直し(縮小、接続)などが含まれる。一方の緩和策とは、逆都市化を前提とした短期から長期にわたる需要喚起策を意味する。
当委員会では上記のうち、逆都市化を前提とした、供給面(適応策)及び短期から中期レベルの需要喚起策(緩和策)を対象とした検討を行いたい。供給面については、効率的供給、サービスの内容及び水準の選択、公民連携(公的関与、公的資金・補助制度)、地方自治体の交通政策、住民参加、合意形成といった課題が需要面については様々な需要喚起策の効果、効率性、妥当性といった課題が議論の対象となる。
当委員会の検討課題は2001〜2004年の「都市交通事業の経営手法:新たな展開委員会」(報告書は整備手法、効率化手法、不採算路線対策の3部構成)に近い。10年余りを経て、交通政策基本法の制定(2013年)など社会の変化を踏まえ、改めて議論するものと位置づけられる。


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